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吉例顔見世 京都南座 昼の部 その1
12月12日(日)京都南座の顔見世の昼の部に行った。夜の部にも増して豪華な配役と演目で楽しみであった。平日夜とちがって休日の昼は若いお客さんが多かった。着物姿の若い女性を多く見られて華やかな感じがした。席は1階12列14番だった。
第一 羽衣 平成20年7月大阪松竹座で菊之助と松緑でみたことがある。関西では孝太郎と愛之助の踊りがよく見られる。舞台の背景は松の木の茂みでそこに羽衣がかかっている。伯竜(愛之助)がみつけてそれを天女(孝太郎)が返してくれるように頼む。二人の踊りの最後に天女は舞台奥の松の木に上がり、やがて松が下がって雲の上に乗っているという趣向である。伯竜はすっぽんから下がっていく。 第二 菅原伝授手習鑑 寺子屋 有名な狂言であるが、見るのははじめてである。忠臣蔵や千本桜と違って菅原伝授手習鑑は今まであまり見る機会がなかった。今年の3月に歌舞伎座で「加茂堤」「筆法伝授」をみたが、「筆法伝授」の武部源蔵は今回と同じ梅玉だった。 寺子屋を営む武部源蔵(梅玉)は筆法伝授を受けた菅丞相の子の菅秀才をかくまっているが、時平方から首を差し出すように言われる。仕方なくその日に入ってきた小太郎を身代わりにして、松王丸(吉右衛門)春藤玄蕃(段四郎)の前にだす。首実験をした松王丸は菅秀才に間違いないという。 小太郎は実は松王丸と千代(魁春)の子で、松王丸が菅丞相の恩に報いるために我が子を犠牲にしたのである。 幕が開くと子どもたちが習字をしていて、にぎやかである。与太郎(種太郎)と子どもたちのやり取りが笑わせる。源蔵が帰ってくると重苦しい雰囲気になり、松王丸らが入ってくると緊張の場面になる。場の雰囲気の変遷が面白い。 梅玉は恩義に厚い誠実な役を演じて適役である。女房の戸浪役の芝雀も夫を思う妻を演じてよかった。夜の部の「鳥辺山心中」の遊女役が太って見えたのはそういう作り方をしたのかと納得した。 吉右衛門は当初は悪役として豪壮な姿を見せ、次に登場する時は、我が子の死をいたむ人情をみせる。どちらの役をしてもぴったりと、はまっている。 義理のために他人の子を殺すという無茶な話ではあるが、現在のように子どもがめったに死ぬことのない時代ならともかく、子どもが死ぬことも珍しくなかった江戸時代の人々は、子を亡くした親の哀しみをより強く実感できたのではないだろうか?
by nori-126
| 2010-12-13 22:10
| 歌舞伎
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